Rose in Tideland ― 2006年07月17日 22時55分56秒
見てきました、『ローズ・イン・タイドランド』。
ああ、良かったです!!
「目覚めることのない 終わらない悪夢」
のような映画でしたが、そこがすごく「良かった」!!
(「Tidelamd(=タイドランド)」は、「干潟」、「境界」とかいう意味だそうです。
おお!出た!!私のテーマ、あるものとあるものが混じり合う「境界」!)
これぞギリアム監督にしか撮れない映画。
『ラスベガスをやっつけろ!"少女版"』って感じです。
でも、『ラスベガス...』よりも、邪鬼度は数段上。
かつ、「誰もが誰かを愛してる」みたいな話でもあるのですが、
その愛情表現が、自分勝手、かつ、まっすぐすぎるがゆえに、恐ろしく壊れていて、
猟奇的であり、悪夢以外の何ものでもないのです。笑えるけど恐ろしい...
でも。
少女の無邪気の中に潜む残酷さ。
かつて愛した人に対する猟奇的なまでの愛情。
世界を終わらせ、自分の力を誇示したい欲望。
これらはみんな、一面では忌むべきものではあるけれど、
がちがちに閉塞してしまっている、現実世界の厚い壁に
風穴を開けるための、起爆剤にもなり得るもの。
現実という悪夢は、人から想像する自由を奪うけど、
夢や映画の中の悪夢は、人の自由な想像から生まれてくる。
ギリアム監督はいつだって、
「現実っていう悪夢と、夢や映画に出てくる悪夢と、どっちが本当の悪夢なんだ!?」
と、映画を見る私たちに問いかけてくる。
映画館を出て、ファンシーショップとか、手作り品の即売会とか、
キャッシュコーナーとか、和食の店の前を歩きながら、
「こっちの世界の方が よっぽど悪夢かもな。。。」
と、思ってしまいました。
あ、いや。
こんな風に思ってたら、「こっち」では生きていけないのですが...。
さて。
私は、ギリアム監督作品の善し悪しを、見る前に予想する鍵は、
「脚本がオリジナルで、なおかつギリアム監督自身が書いているか?」
だと踏んでいるので、今回は共同脚本に監督の名前があったので、
これは見るべき!!
と、最初から思っていて、楽しみにしていたのです。
(前作、「ブラザーズ・グリム」は、迷った末、見なかった)
今回は、私の予想は当たっていました。
久しぶりに「ギリアム監督らしい」映画を見られて良かったです。
でも、あの内容
(=出てくる人間全員、激しくイカれてる!しかも猟奇的!)
じゃあ、
神戸の近辺では上映館はたった1館だけ。
しかも2週間で終了。
というのも、うなずけます。
(そして、映画に出てきた異常なエピソードの数々の中に、
私が実際に夢で見たことのあるものがたくさんあって、
自分の悪夢を編集して映像化され、見せられているような、
気持ちの悪い疲労感が残りました。ああああああ。)
あ、でもね、
主演のジョデル・フェルランドちゃん、ものすごく良かったですよ。
「バロン」のサラ・ポーリーのように、独特な女優さんになっていくかも。
幽霊女デル&潜水艦長ディキンズ姉弟役のふたりも、すばらしい!!
パパ役のジェフ・ブリッジズは、最初からずっと出てるんですけど、
途中から、本人ではあるのですが、微妙に役柄が変化します(笑)
そこは見てのお楽しみ!!
アンドリュー・ワイエスの絵を下敷きにした風景や家のセットも、
しっくりはまっています。
ワイエスの緻密さ、世界の狭さって、やっぱりどっか病的ですもんね。
そこが上手に使われています。
怒濤の結末に向かうまでの「前ふり」が長いのは、ギリアム監督いつものこと。
待ってたら、最後に、悪夢と悪夢がスパークし、震撼する場面にたどり着きます。
興味のある方は早く見に行ってくださいね。
ホントにすぐ終わるから。
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さてここで、明日の予告を。
明日の『ロータスのツボ2』にご注目!!
新たな事実が発覚か!?
詳しく観察してから、ご報告いたします。
お楽しみに!!!!!!
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