『サービス業』じゃないので ― 2010年10月27日 00時13分45秒

絵がかなりな勢いで滞っておりますが・・・
(ダイジョブ!調子は悪くない!これから頑張るから!o(´^`)o)
「なんやアンタまた蓮かいな。他のもんは描かへんのかい!」
と、ツッコミ入れられようとも、ロータス描きます私。
だって、ロータスとその周辺には間違い無く、
私を惹き付けて止まない、『何か』が、凝縮されてあるから。
私の性格からして、通常は1度描いたものは2度描かないところが、
こんだけ続いて描いてるというのは、異常事態。
他人さんの感心は他の植物や物に目移りするかもしれないけど、
そんなんにいちいち付き合って自分の描くものを変えてたら、
自分の中身が何にも無くなってしまうから。
絵を描く意味が無くなってしまうから。
他の絵を描く人が何考えてるかは知らないけど、
「わたしがやってるコレ」は、『サービス業』じゃないんで。
もしコレが『サービス業』なら、もっとサービスすると思う。
でもとても残念なお知らせだけど、『サービス業』じゃないので!!
私の絵の発注元は私以外にいないので。
* * *
この1ヶ月、諸事情(私自身の事情ではない)でバタバタしておりました。
やっとこさ、なんとか現状復帰が出来たか出来ないかという、
まだ様子見の隙間でブログ更新しております。
その間に、お世話になっていた老舗画廊の閉廊のお知らせが届き、
一緒にお仕事してた方がやめられ、新しい方が来られて、
変化の波が来ていることを、ひしひしと感じていました。
これから書くことは、「ファインアート」の世界だけの話かもしれませんが・・・
今から遡ること3年前、東京の画廊へ個展の契約をしに出かけました。
その時にも思っていたことですが、、、
画廊経営にも変化の波が確実に来ていて、これからの時代、
たとえ老舗といえども、安穏とはしていられなくなるだろうな、と。
なぜなら、若い作家さんは、その活動の最初の頃からコマーシャル・ギャラリーを目指し、
「制作・発表・販売」を、一連のものとして考えるようになってきていたから。
昔のように、まずは貸し画廊を自腹で借り、そこで何度か発表を繰り返し、
少しずつ見てくれた人の評価を高めて行って、あこがれの企画画廊で発表する。
このコースが一般的だった時代はとうに過ぎたのです。
これもまた3〜4年前ですが、某美大の卒業制作展を見に行った時、
作品の前に名刺が置いてあり、「なんだろう?」と思って見てみると、
なんと、ギャラリーの名刺!
卒展を見に来たギャラリーの方が、学生をスカウトしてるんです!
スカウトするぐらいですから、貸しギャラリーなわけありません。
それを見た時に、頭がクラクラしました。
「え!こんなんでいいの?」と。
それは学生さんとギャラリーさん、両方に対して思ったことです。
今の学生さんはしっかりしてるから、若干20才過ぎでも、
立派に自分の作品をつくり、作家として自立できるのかもしれませんが・・・
毎年毎年、卒業してくる美大生は大勢いるわけで、
その中から毎年1人スカウトするとしても、5年もたてば、
ギャラリーは5人のアーティストを抱えることになり、
もちろんある程度経験のあるアーティストに声をかけることもあるので、
あっと言う間に大所帯になってしまいます。
そんな大勢のアーティストにレンタル料も取らずに展覧会をさせられるわけもなく、
当然、ギャラリーの期待に応えられなかった作家は、
そのギャラリーからは切られて行くことになります。
それが、発表し始めて間もない若い人だった場合、受ける傷の深さはいかばかりかと・・・
それを想像すると、もう、いたたまれなくなります。
他人の評価は重要ですし、無視することは難しいですが、
「コマーシャル・ギャラリーで発表して、作品が売れること」
を、最初から目標にして作品を作ることをして来た場合、
そこが挫かれた時、その人はどこに支えを求めたらいいのか?
今の若い人は、私が考えるよりももっと強いのかもしれません。
でも、もし、私たちの頃に一般的だった、
「貸し画廊で自腹で個展 → ゆくゆくは企画画廊で個展」
というコースが、
「コマーシャル・ギャラリーで発表 → 作品が売れる」
というコースに置き換わったのだとすれば、
大多数の学生は、そこから弾き出されるのでは?
卒業していきなり「コマーシャル・ギャラリーで発表」は、まず無理です。
でも、貸し画廊を借りてまで個展をしようという人は減っている。
では、みんなどうやって作品を発表しているのでしょうか?
コンクール?でも、コンクールも他人の評価をくぐり抜けた、
選ばれた作品しか展示してもらえませんし、個展の代わりにはなりません。
6年ほど前、ニューヨークで個展をする前に、
ニューヨークのギャラリー事情というのを調べた事があります。
そこで分かったことは、
・貸しギャラリーはほとんど無い
・コマーシャル・ギャラリーが基本である
・コーポレイト・ギャラリーというのがある
・作家をピックアップする場合、ギャラリーが最も重用するのは、名のある美術関係者からの「紹介」である
・美術作品は、商品である
・作家は作品を売ることで、生活していける可能性がある
こういうことでした。
(「コーポレイト・ギャラリー」とは、作家自身が自らの作品を発表する場として、資金や人的労働を持ち寄り自主設立運営するギャラリー。共同アトリエとは違う。)
これが分かった時、「近い将来、日本もこうなるんだな」と、思いました。
ただ、日本はニューヨークと違って、一般の人が気軽に作品を購入する習慣が無い。
ある程度お金を持っている人が、美術品を買うことをステイタスとする、
そういう習慣も無い。
そこの違いが、ニューヨークと日本ではどう出るのかな?と。
その部分は今もまだ、私には見えないので、答えは分かりません。
ただ私が思うのは、毎年毎年、何千人何万人と卒業してくる美術学校の学生が、
ほんの若い時期に、
「コマーシャル・ギャラリーに入れなかったから」
という理由で、その後の制作を断念してしまうのが、本当に残念だということ。
そんな大勢、作家は要らないから、淘汰されてちょうどいいんだ、
と言ってしまえばそれまでですが・・・
もし、今の時代に私が若い作家だったら、こんなに苦しい時代は無いなと。
そう思って、怖くなるのでした・・・
若い作家の方、あなたはどうやって発表の機会を得ているのでしょうか?
日本で美術作品を売買することが一般的ではない以上、
今現在、作家が作品を発表する形態としての理想型は、
「コーポレイト・ギャラリー」なのかな?と思いますが。
運営能力も必要なので、それが出来る人は限られるかも・・・
まだまだ行動している人は、皆無ですね。
私の身内も、来年から美大生になるのです。
これからの美大生と若い作家さんの、幸運を祈るばかりです・・・
***************************************************************************
さて、『Lotusのツボ Part6』今回が最終更新であります。
今年も大した成果も無く、終わりましたとさ!(笑)
来年こそやります!(と、毎年言ってる)
もう世の中はすっかり秋通り越して冬ですが、みなさまお元気で!
皆の衆、アディオスだ! (o ̄∀ ̄)ノ
最近のコメント